電車の中の恋人

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就職氷河期世代の前に垂れてきた蜘蛛の糸

兵庫県宝塚市から始まった就職氷河期世代の特別採用が広がりつつある中、雇用や労働を所管する厚生労働省でも実施されることになり、昨年末から先週までの応募状況が公表され、採用予定10人のところ、1934人の応募があったそうです。

倍率は約190倍です。宝塚市では約400倍だったことを考えると半分以下ですが、単純計算で190人のうち189人はお祈りされるということです。桁が1つ少ない19倍であってもかなりの高倍率ですが、190倍ともなると理解が追いつきません。

また、このテのものはとりあえず応募だけしておこうという人が少なくありませんが、宝塚市では採用試験の欠席者がほとんどいなかったそうです。応募者がいかに本気か分かりますし、厚労省の採用試験も欠席者は数える程度でしょう。

世の中に“絶対”はありませんが、限りなく“絶対”に近いのは公務員の正規雇用でしょう。行政が潰れたら民間も潰れますし、罪を犯すようなことでもなければ解雇されません。老後の保障も手厚く、楽しいかどうかは別として、公務員になれば死ぬまで安泰です。

応募者にとって厚労省の椅子はカンダタの前に垂れてきた蜘蛛の糸と同じであるはずです。小説では自分だけ助かろうとしたことでまた地獄に堕ちてしまいますが、現実はそんなに甘くなく、みんな他人を蹴落として何とか自分だけ採用されたいと思っているでしょう。

そして、それは決して悪いことではありません。むしろ当然のことです。そもそも、採用する側である厚労省職員が他人を蹴落としまくり、国家公務員の地位を得ているわけですから、就職氷河期世代の辛い気持ちなど分かるわけがありません。他人を蹴落とせる同類を採用するでしょう。

厚労省の応募者の中には宝塚市にお祈りされた人もいるはずです。これから全国各地の自治体で実施される就職氷河期世代限定採用に片っ端から応募する人もいるでしょう。しかし、採用されるのは全体で100人にも満たないかもしれません。

何もしないよりは良いと思います。この世代の苦境が伝わるきっかけの1つになっていますから。ただ、大多数の人が、新卒時にひどい目に遭った上に、今回、さらにひどい目に遭うことになり、再起不能になる人が出てくるはずです。

そもそも、これらの試験を受けようとすら思えない人もいるわけで、そういった人たちをどのように支えていくかが今後の大きな問題になります。同じく辛い思いを経験した世代として、自己責任論で片付けることだけはしたくありません。