世はすっかりクイーン一色ですが、ひねくれ者の私は『ボヘミアン・ラプソディ』を観ず、こんなものを観てきました。先月からずっと気になっていたものです。
ビル・エヴァンスといえばジャズファンでなくとも知っている人が多いと思いますし、名演の『ワルツ・フォー・デビイ』は村上春樹の『ノルウェイの森』にも出てきます。
天才は常人に計り知れない苦悩を抱えるものですが、ビル・エヴァンスもそんな天才の1人で、神がかった演奏と徐々に薬物に蝕まれていく姿の対比が激しすぎて目を背けたくなるほどです。
ただ、家族を大切にする様子がうかがえるプライベート・ショットを見ると「あぁ、ビル・エヴァンスも普通の人間なんだなあ」と実感します。当たり前のことですが。
『ワルツ・フォー・デビイ』で伝説的な演奏を披露した翌週に事故死したベーシストのスコット・ラファロのプライベート・ショットを見られたのが個人的に感激しました。
それにしても、ビル・エヴァンスのタバコを吸う姿がカッコイイのなんの。くわえタバコでピアノを弾く姿のあまりの格好良さにおしっこちびりそうになりました。
日本全国で公開されているもののミニシアターが中心になっているようで、私が観たのも横浜シネマリンという単館です。思い立ってすぐ観られるわけではありませんが、ジャズファンでなくとも音楽好きならぜひ観ていただきたい映画です。
17時を過ぎたというのにまだ明るく、ずいぶん日が延びたと感じます。以前はここでよくタバコをふかしていましたが、いまはボーッと川面を眺めながら物思いに耽るのみです。