電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

契約の理想と現実

出版業界は口約束が定番のいい加減な世界です。デザイナーなどにお願いするときは「こんな感じで、いつもの値段で」とだけ、契約書を交わすことなどまずありません。

通常、長い付き合いの人にお願いしますし、新規といっても誰かの紹介ということがほとんどなので、これで何とかなってしまいます。出版に限らずクリエイティブ界隈はどこも同じようです。

良くないことだと思います。

私はこれまでトラブルになったことがありませんが、半分ぐらいまで進んで急きょ中止になることもなきにしもあらず、そういうときの費用はどうするのかを事前の契約書で決めておくべきです。

理想と現実

ただ、そうは言っても先に動き出しておかないと納期に間に合わなくなるというのもよくある話で、契約書を交わすべきという理想とそれを待っていられないという現実があります。

いまの会社はここを曖昧にせず、契約書を交わし、社内で承認を得られるまで発注できない仕組みになっています。もし口約束で動き出そうものならコンプライアンス違反で評価が下がります。

転職した当初は感動しました。これまで仕事をお願いしてきたフリーの方々の中には他社の仕事を口約束で受けてひどい目に遭った方もいて「普通の会社はこうだよな」としみじみ思いました。

本末転倒

しかし、きょう、契約書に関する社内手続きに時間がかかり、案件を失注するという事態が発生しました。クライアントに「見本がほしい」と言われていたのですが、デザイナーとの契約書に時間がかかって発注できず、見本が間に合わなかったわけです。

こうなると本末転倒です。デザイナーを守るための契約書が遅れてしまって発注できず、結果的に仕事をなくしてしまい、デザイナーが稼ぐ機会を失してしまいました。

デザイナーは私を信頼してくれていて、契約書を交わす前でも動くと言ってくれたのですが、それができませんでした。大きな組織なので臨機応変の対応ができなかったわけです。

原則

1回の例外を認めてしまうとなし崩し的にそれが当たり前となり、気付いたときにはグダグダになっているということが多々あります。たとえ失注しても契約書を交わす前に動いてはいけないという原則を貫いた今回の対応は良いことなのかもしれません。

口約束で進めるとトラブルになり、契約書の締結にこだわりすぎてもトラブルになります。今回はそれが悪いほうに出て、クライアントとデザイナー、私の全員が損しました。

私はお人好しと言われます。基本的には性善説です。ただ、他人を騙すことを何とも思わない人間がいることも事実で、性悪説であるべきと思うことも多々あります。

難しいものです…。