第1回を書いたのが半年前で「全然、連載じゃないじゃん」という声がモニターの向こうから聞こえてくるような気がしますが、何事もなかったように第2回を書いてみます。
第2回のテーマは「行う」の使い方です。
効果が期待できない広告に対して費用の支払いを行っている経営者は少なくありません。費用対効果の確認を行い、場合によっては契約解除の手続きを行うなど、定期的に見直しを行いましょう。
弊社の媒体に寄稿していただいている著者の原稿の一部です。もちろん、原文ママではありませんが、今回のテーマに使える箇所はイキにしてあります。私は次のように修正しました。
効果が期待できない広告に対して費用を支払っている経営者は少なくありません。費用対効果を確認し、場合によっては契約を解除するなど、定期的に見直しましょう。
- 支払いを行っている→支払っている
- 確認を行い→確認し
- 見直しを行いましょう→見直しましょう
この著者は特に「行う」を多用してしまう傾向がありますが、こうして例を挙げるといかに回りくどいか分かると思います。修正したほうがスッキリしていないでしょうか。
動詞を名詞化した上で動詞を足しているわけですから回りくどくなって当然です。行政文書によく見られますが、都合の悪いことを回りくどく書いて煙に巻こうとしているのではないかといつも思います。
間違いでないのが曲者
ただ「支払う」と言おうが「支払いを行う」と言おうが、明らかな間違いではありませんし、意味は正しく伝わります。そして、これが日本語の難しいところです。
例えば、英語であれば動詞+動詞などあり得ません。「pay」のひと言で済みます。「支払いを行う」は「do pay」と言っているようなもので、気持ち悪さが半端ありません。
「行う」は便利な言い回しですし、使ったほうが分かりやすくなることもあります。大切なのは、そこで自分が「行う」を使っていることに気付けるかどうかです。
「行う」を安易に多用しないことによって文章に無駄がなくなり、読みやすい文章になります。無意識的に使ってしまいがちなので、ほんの少し気をつけてみることをお勧めします。
なお、第1回はこちら。
◆もっとキレイな文章を書きたいなあ…と思いながらつぶやいています → ずずず (@wakabkx) | Twitter